重金属が体に及ぼす影響とは? | ドクター・ギブソンのブログ
鉛、カドミウム、水銀などの重金属は、人間の健康に悪影響を与えます。これらの重金属は、一旦土壌、空気、水などに入ると持続性があるため、深刻な問題を引き起こします。
重金属中毒は、中枢神経機能、心血管系および胃腸系、肺、腎臓、肝臓、内分泌腺と骨にダメージを与えます。慢性的に重金属にさらされることは、変性疾患(アルツハイマー型認知症、筋萎縮性側索硬化症など)や自己免疫疾患に関係しています。また、ガンになるリスクを上げる可能性もあります。
有毒な金属にさらされるのを完璧に回避することは不可能です。これらの毒物は、食べ物や飲み物、または空気などの供給源を介してあなたの体に侵入するからです。重金属の摂取の可能性を減らすライフスタイルを選択することにより、重金属を減らすのは可能です。食生活の改善とサプリメントの摂取は、代謝の改善、または摂取した重金属の排泄を促進することができます。
慢性毒性は、長時間かけて、比較的低濃度に毒素にさらされたことが原因となる症状です。重金属への慢性毒性の症状は、他の健康状態同様、すぐに中毒と認められないかもしれません。長期間の毒素にさらされることで起こる一般的な疾患は、パーキンソン病、リウマチ、アルツハイマー病、多発性硬化症、うつ病、心血管疾患と腎不全です。
水銀
水銀は、他の重金属を体内に運び、保持させる能力を持っています。これが、最も危険な毒性重金属の理由です。水銀の毒性は、経口摂取または水銀蒸気の吸入により発生する可能性があります。水銀にさらされる1つの供給源は、石炭火力発電所から来ています。この水銀汚染が、空気中に分散され、海中に沈殿し、そこで魚や貝に生物濃縮します。もう一つの水銀の供給源は、ワクチンと歯科用のアマルガムの詰め物です。
人間は、少量の水銀は排泄することができますが、水銀排泄のための積極的な強いメカニズムは持っていません。水銀にさらされ続けると、体内に水銀が蓄積します。水銀は、臓器に分布し、主に脳と心臓に集中する傾向があります。また、胎盤を通過し胎児に移行しますし、母乳内にも存在します。
水銀は、エネルギー産生に関与する酵素の活性部位の鉄と銅を置換させることにより、その毒性の効果を発揮します。また、水銀は直接、細胞膜やLDLコレステロール粒子の酸化的破壊を促進するだけでなく、細胞の抗酸化物と結合し不活性化します。その細胞防御とエネルギー産生への影響のため、水銀はいくつかの臓器系に、幅広い毒性と症状を引き起こします。水銀は甲状腺に蓄積し、自己免疫疾患のリスクを増加したり、認知症を含む脳の損傷や神経変性疾患に関与したりしています。
鉛
鉛の毒性は、最も頻繁に報告される、意図しない有害重金属中毒の一つです。人間の環境からの暴露は、しばしば鉛含有塗料や内側に鉛を使った缶詰に保存された食品、陶器の入れ物に保存された食品や汚染された水を介して起こります。酢酸鉛は、いくつかの化粧品に含まれていますが、鉛は皮膚からも吸収されます。子どもは大人より、最大8倍も鉛を吸収しやすいです。劣化してはがれた鉛ベースの塗料のかけらやほこりが、子どもの主な鉛暴露の供給源です。鉛はカルシウムに似ているため、子どもと大人の骨に蓄積され、何十年も残ります。骨からのカルシウム放出を引き起こす状態もまた、骨に蓄積した鉛を放出し、血中や他の臓器内に入る事につながります。
慢性の、低レベルの鉛中毒は、高血圧のリスクの増加と、腎機能の低下に関係しています。高いレベルの急性鉛中毒は、甲状腺、脳を含む内分泌腺に影響を与え、貧血を引き起こします。子どもでは、低レベルの鉛中毒は発達障害をもたらします。
アルミニウム
アルミニウムは自然界の至る所にあり、たいていの食品や水に自然に入っています。最近、アルミニウムの毒性が急激に増加しているようです。金属毒性の試験を受けた80%近くが、髪の毛のアルミニウムのレベルが極端に高いことが明らかになりました。また、アルミニウムは、ワクチンを通して直接体内に注射されることもあります。アルミニウムは、主に肺、肝臓、甲状腺、骨、脳に蓄積されます。たいていの臓器のアルミニウム量は年齢によって増加しませんが、肺と脳のアルミニウム量は、年齢とともにかなりの蓄積を示します。現在、アルミニウムは調理器具、サニタリー製品、缶など食品の容器に使われるようになり、ますます毒性が増加しています。アルミニウムは神経毒で、神経学的疾患に関与しています。アルツハイマー病患者は、脳内のアルミニウム量が高いことは周知の事実です。
カドミウム
カドミウムの慢性中毒は、人間の健康を犯すものと考えられています。カドミウムは、土壌や海洋水に存在します。また、食品や水の中でも見つかる可能性があります。タバコの煙の吸入を介して容易に吸収されたり、皮膚から吸収されたりします。カドミウムは赤血球と結合し、体全体に輸送され、特に肝臓と腎臓に蓄積します。カドミウムはゆっくり排泄されるので、20〜30年は体内に残る可能性があります。カドミウムは亜鉛に似ているため、亜鉛の代謝を阻害して毒性活性を発揮すると考えられています。人間の代謝系には、亜鉛がその活性に必要であり、カドミウムの毒性の標的の可能性になる、約3000の異なる酵素と構造タンパク質があります。
ヒ素
この半金属性(金属と非金属の両方の性質を持つ)のヒ素は、明らかに健康に害を及ぼす可能性があります。多くの人が気づかないうちに中毒になる、最も一般的なものです。ヒ素は、無機ヒ素、有機ヒ素の両方の形で、環境に自然に存在します。魚介類は、高い濃度の有機ヒ素を含んでいます。穀物や家禽もまた有機ヒ素の供給源です。ヒ素は、吸入または皮膚から吸収されます。無機ヒ素は、赤血球のヘモグロビンと結合し、急速に肝臓、腎臓、心臓、肺に分布します。またはるかに少ない量ですが、神経系、消化管、脾臓にもいきます。たいていの無機及び、有機ヒ素化合物は、腎臓で排泄されます。
ヒ素は、細胞内でリポ酸と結合し、枯渇させます。ATPに直接結合してATPを不活性化して、化学エネルギーの産生を阻害します。無機ヒ素の急性の暴露は、吐き気、嘔吐、多量の下痢、不整脈、赤血球と白血球産生の減少、血液量の低下、四肢の炎症やしびれ、脳症を引き起こします。無機ヒ素の慢性中毒は、数週間から数ヶ月以内で、貧血、神経障害、または肝臓毒性を引き起こします。慢性ヒ素中毒は様々なタイプのガンになる可能性もあります。
鉄
鉄の毒性は、最も一般的な世界の金属毒性です。鉄過剰の一般的な症状は、特に鉄過剰症のヘモクロマトーシスとの関連で、皮膚の色素沈着過剰です。特に肝臓が過剰になったり、破壊を引き起こしやすいです。鉄の毒性は、関節疾患、不整脈、心不全、アテローム性動脈硬化症のリスクの増加に関連しています。また、肝臓ガン、肺ガン、胃腸のガン、及び血液のガンのリスクを増加させます。
日本人は体内の鉄分が不足していることが多いです。これは、他の健康上の問題につながります。鉄分は体細胞に酸素を運搬するために必要です。鉄分をサプリで補完する前に、体内の鉄分レベルを知ることが大切です。
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