記憶障害と繰り返される話 | ドクター・ギブソンのブログ
脳機能が低下していることが周りの人には明らかでも、本人が問題を認識しないケースがたくさんあります。多くの場合、最初に認知症の症状や脳機能の低下に気づくのは、友人、配偶者、そして子どもです。
ある65歳の女性が認知症と診断されて、彼女の娘が私のところに連れてきました。彼女のケースの興味深いところは、患者が全く症状を認識していないことです。彼女にとっては、症状がないときと同じくらい聡明でした。しかし、彼女の娘は、一度の電話で同じ話を８回も繰り返したり、最近の出来事を忘れたりすることを報告してくれました。
彼女は、既に食べたと考えると、食べることを忘れてしまいます。彼女は数日前に朝食を食べたことは覚えているのですが、それが今朝の出来事と考えてしまうのです。 彼女にとって、時間は重なって混合し、彼女は出来事が今起こったのか、数日または数週間前に起こったのか理解することが出来ませんでした。
彼女は、娘が自分のことを話している時、実際とても怒っていて、自分には悪いところがないと主張していました。私は、自分の認知症プロトコルは認知症の予防を助けるもので、彼女を傷つけるものではないと説得しました。彼女は同意してくれ、すぐに改善しはじめたのです。その後数ヶ月間で、話を繰り返すという症状は、月を追うごとに顕著に減っていきました。時間が元に戻りはじめ、彼女はまた現在と過去を見分けることが出来るようになりました。
しかし、患者である彼女にとっては、特に何も変わらなかったと思っています。母親の人生を救ってくれたことに対して、彼女の娘が私に感謝しています。
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